バックオフィス業務をスッキリ整頓!ここまでできるの?!相互性や機能性に優れた便利なリモートツール~後編~
テレワークやバックオフィス業務に欠かせない書類整理やシステムフロー改善のツール・サービスを紹介
(2020/08/10更新)
新型コロナウイルスの影響が続く中、社内システムへの接続や書類が必要なことから、オフィスへの出勤を余儀なくされている人も多いのではないでしょうか。また、テレワークになっていても、やはり環境が違うことでやりにくさを感じている人も少なくありません。今後もしばらくはwithコロナを意識したワークスタイルが必要となることが予想され、業務のリモート対応が課題になっている企業も多くなっています。
テレワークを快適に行うためには、業務上のさまざまなシステムをデジタル化し、リモート環境で共有できるようにすることが大切です。本記事では、バックオフィスのテレワーク環境作りに有用なツール・サービスについて紹介します。
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この記事の目次
まず取り組むべきは書類のデジタル化
IT業界や大企業ではDX(デジタル・トランスフォーメーション)が必要だと言われることが増えています。DXとはデジタル技術を利用することで抜本的にビジネスを変え、新たな価値を作ることです。しかし、大きな企業になるほど、バックオフィス業務では紙・判子をベースとしたアナログな業務フローが根強く残っており、DXを進めにくい状況です。
こうした中、比較的DXへの取り組みがしやすいのは、企業の歴史も浅く、規模も小さいスタートアップ企業です。紙の資料などをできるだけデジタル化することで社内の保管スペースを削減でき、資料の検索性や再利用性を高めることができます。また、今ならリモートワークのためにも書類のデジタル化が重要な意味を持っています。
バックオフィスのリモート化は、紙の書類をデジタル化するところからスタートすると言っても過言ではありません。以下、書類のデジタル化に役立つツールやサービスを紹介します。
スキャンアプリ・ツール
以前は紙資料をデジタル化する場合、スキャナに一枚一枚紙の資料を読み込ませる必要がありました。しかし、今やカメラ画質の工場やOCRの読み取り精度の向上、AIによる書式判断などの技術によって、スマートフォンなどのカメラで撮影した画像をそのままPDFなどのデジタル資料にできるようになっています。
たとえば、PDFや画像編集ソフトなどで知られるAdobeの提供する「Adobe Scan」は、無料で使うことができ、撮影した書類の写真をクラウドに保存すると自動的にPDFにし、書類内の文字を解析して検索可能な状態にしてくれます。また、紙資料を撮影してデジタル化し、フォームとして入力することも可能です。
Microsoftが提供している「Office Lens」も無料でありながらも、撮影した写真をPDFなどの読み込み可能なデジタルデータにしてくれます。こちらは画像をWordやPower Pointのファイルにすることも可能です。
膨大な手間がかかるスキャン業務はアウトソーシングで
多くの企業が、書類がデジタル化できればいいと思いつつもできないのは、スキャン業務に莫大な手間がかかってしまうからです。そういう場合は、スキャン業務そのものを外部に委託するというのもひとつの方法です。インターネットで「スキャニングサービス」や「スキャン代行」で検索するとよいでしょう。
スキャニングサービスを提供する専門企業は、書類の種類ごとに複数のスキャナ(OCR機器)から読み込み精度の高いものを選んでスキャンしてくれるため、スピードだけでなく品質も期待できます。
費用は品質(解像度やテキスト読み込みの可否、ファイル名の指定など)や納期、数量などによって変化しますが、1枚あたり5~50円ほどが相場です。納品は指定箇所へのアップロードまたはHDDなどのメディアに入れて行われます。
デジタル書類を活用するための書類管理データベース
デジタル化した資料をただ保存しておくのは非常にもったいないことです。デジタル化した資料は、適切に保存して必要なときに利用できるようにします。この時に重要なのが書類管理用のデータベースです。
これは簡単に言えば、企業が利用するファイルサーバーです。資料を蓄積しておく際には、情報管理のためにもアクセス権の設定が必要ですし、資料の検索性を高め再利用しやすい形にすることが大切です。最近はどこからでもアクセスできるよう、クラウド上のストレージに情報を保存するのが主流です。クラウドストレージでは、マルチデバイスに対応し、ダウンロード無しに資料の内部を読み込めるプレビュー機能が充実したサービスが増えています。
紙資料のデジタル化とそれを活用するためのデータベース作りは、バックオフィス業務の効率アップだけでなく、DXやリモートワークの基礎となるので積極的に推進していくとよいでしょう。
バックオフィス業務の効率UPとリモート化のための仕組みを提供するサービス
バックオフィス業務の効率化やリモートでの業務を可能にするためには、各部署での業務プロセスを見直していく必要があります。バックオフィス業務には、複数人で行う作業や、複数の部署にまたがる作業、社内外とのやりとりが必要な作業も多く、リモート化を難しく感じる人も多いものです。
しかし、手軽に利用することができるオンラインサービスが増えており、さまざまなバックオフィス業務のリモート化は可能になりつつあります。ここでは、業務の仕組み作りに便利なサービスをいくつか紹介します。
オンライン決裁(ワークフロー)
バックオフィスの業務では、物品購入のための稟議やさまざまな契約など、経営者や上長の決裁を必要とする場面が多くあります。こうした決裁が紙や判子といったアナログな方法で行われている場合は出社せざるを得なくなってしまいます。
オンライン決裁(ワークフロー)は、オンライン上で決められたシナリオに沿った承認フローを提供してくれるサービスです。承認者のレベル設定や順番が指定できるほか、アナログでは難しい並行作業(同レベルの複数の承認者が同時に承認作業を行う)も設定できます。決裁に必要な書類なども添付できるので、決裁のための書類作成や資料印刷の手間、コストを削減する効果も大きいです。
「ジョブカンワークフロー」は簡単な操作でさまざまな申請ワークフローを作成できるサービスです。1ユーザーあたり300円/月で利用できる他、マルチデバイス対応で外出先からでも承認を行えます。申請書類もシステム上で管理されるため、資料保管の手間やコストを省くことができます。
また、「X-point Cloud」はさまざまな承認業務をクラウド上で行うことができ、経費精算や休暇申請などにも対応している汎用的なサービスです。いずれも30日間の無料トライアルもありますので、本格導入前に利用してみるとよいでしょう。
オンライン経費精算
リモートワークを行う社員が増えた場合にニーズが高まるのが、オンライン経費精算のシステムです。最近の経費精算システムは、経理視点での業務効率化だけでなく、ユーザーの入力の効率化や承認者の作業効率化にも配慮され、非常に使いやすくなっています。マルチデバイス対応、会計システムと連動できるものなら業務効率化にも便利です。
オンラインで経費精算ができるサービスは多いですが、中でも「MoneyForwardクラウド経費精算」は外部サービスとの連携が強く、入力業務や振込業務の効率化も期待できます。
小売や飲食店など、アルバイトも含めた従業員が多い業態なら、ユーザー数無制限の「TOKIUM経費精算」も効率化・リモート化のために有力なサービスです。
オンライン契約書(電子契約サービス)
不動産の契約のように、有資格者による対面での説明や契約が求められるケースを除けば、オンラインでも契約を結ぶことが可能です。
オンライン契約書(電子契約サービス)は、オンライン上で契約書類の作成や捺印を可能にしてくれます。商品・サービスの販売だけでなく、労働契約や業務委託契約などさまざまな契約で利用可能です。
こうしたサービスで作られた書類には、通し番号はもちろん作成日や捺印時にタイムスタンプが自動的に記録され、改ざんができないようになっています。契約書の検索や複製して新しい契約書類を作るのも簡単で、万全のセキュリティ環境のもとで処理と管理が行われるため安全です。
また、印紙が不要なのでコストダウンにもつながります。
弁護士ドットコムの「クラウドサイン」は法律とITの専門家が提供しているサービスでサポートに安心感がありますし、コストを重視するなら完全無料の「e-sign」を利用するとよいでしょう。これらは契約相手が該当サービスを利用しているか否かに関係なく利用可能です。
クラウド勤怠管理
リモートワークになると勤怠管理が難しくなり、労務担当者の悩みの種になります。勤怠管理をExcelで行っているような場合、勤怠報告が上がってこなかったり、正確でない入力内容になりがちです。従業員がオフィスに出勤している場合と違い、リモートワークは目視による状況の確認も難しく、適切な労務管理が難しくなります。
クラウド勤怠管理は、ユーザーのさまざまな働き方に合わせた打刻方法を提供するとともに、リアルタイムの勤怠状況の見える化やさまざまなシステムとの連携機能を提供します。無料で使えるものもありますが、対応人数やレポートの出力機能やデータの保存期間などに制限があるため、法律上の要件を満たす労務管理を行うなら有料のサービスを利用した方がよいでしょう。
低コストでしっかりしたクラウドでの勤怠管理を目指すなら、「Time R」と「RecoRu」はおすすめのサービスです。いずれも1人あたり100円/月ほどのコストで利用でき、データの集計や分析も可能です。予定勤務時間を超過した場合の自動アラートなどの機能は、リモートワークならではの担当者の負担軽減に役立つでしょう。
デジタル化・リモート化の流れに乗ってバックオフィス業務を改革しよう
バックオフィス業務は社内外の多くの関係者とのやりとりや承認の必要があるほか、慣例的に紙と判子によるやりとりも多いために、書類のデジタル化や業務のリモート化が進みにくい面があります。大企業と比較するとスタートアップや中小企業は、これらの業務改革を行いやすく有利です。
現在、政府がDXを推進し、電子契約や電子化した書類の保管について条件の緩和が進んできているため、デジタル化やリモート化がしやすい環境ができつつあります。合わせて、最新の技術を用いてオンライン上でさまざまなバックオフィス業務を完結できるサービスが増えています。これらを上手く活用することで、低コストかつ効率的で、リモートワークにも対応したバックオフィス業務の仕組みを作ることが可能です。
本記事で紹介したサービスの他にも、バックオフィス業務のリモート化・効率化に有効なサービスは数多くあります。ぜひ、自社の状況を振り返り、効果が高いと思われるところから着手してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)